「ラクス!シン!帰ろ!アスランが夕飯奢ってくれるって。腹が減っては戦はできぬっていうしね」
第二ラウンドやる気かよ。
ていうか夕飯程度で期限直すところが……こんなこと怖くて口には出せないが…案外安いなキラ先輩。
「キラ。ラクスはともかく俺はシンまで奢る気はないぞ」
「いいですよ。(あんたに食事を奢られたりでもしたら毒でも入ってそうだし)俺は帰るんで」
「うわ。アスラン。ケチくさい。サイテー」
「好感度大幅ダウンですわねー」
「ねー(元々ものすごっく低いけど)」
「キラっ…ラクス…」
「アスラン抜きで行きましょう。」
「あ。それ良いね。アスラン。財布出して」
「は!?ってアレ?なんでお前が俺の財布を持ってるんだ?」
アスランが財布を出すよりも早く(素直に出していたかは不明。
ていうかマジで出したら馬鹿だ)キラはまるでマジックのように、その手に彼の財布を乗せていた。
手慣れてやがる。もしやスリの常習犯なんじゃ……。
「若しくはカードだけでもよいや」
と言いながらキラはカードを抜き取ると、中身を散乱させながら財布をポイと捨てた。
「じゃ行こうか。ラクス、シン」
「ちょっ…待てキラ!!」
アスランが財布の中身を拾っている間に、三人は学校を後にしたのだった。
「……ちょっと流石に酷くないっスか?」
「何処が?ぼく世間知らずだから、わかんなぁい」
「…………俺、自分の代金は自腹で払いますから」
「できんの?これから行くところはラクスオススメの超老舗の高級寿司屋さんなんだけど」
「……俺帰りまーす」
「ダーメ!遠慮しないでよ。幾らでも食べていいからさ」
「まるであんたの奢りみたく言うなよ!」
「似たようなものじゃない」
「全然違う!」
が、なんだかんだで流されるがままにシンは二人とともに寿司屋に行ったのだった。
翌日。
「アスランに財布返しに行くから付き合って」
「……連帯責任っスか?」
食べたには食べてしまったので断れない。
「違うよ。一人でアスランのとこになんていったら貞操が危ないじゃない」
「………んなまさか」
咄嗟に否定しきれないのが悲しい。
で、彼の教室まで行ってみたのだが……
「いない?」
「すみません姫。アスランさんは多分今生徒会室ですよ」
姫っていうなっての!
「アスランめ…このぼくに無駄足運ばせるなんてっ」
……俺はともかくこの人はほんと傲慢なお姫様だよな。
ともかく愚痴りつつもその足でそのまま生徒会室の方へと向かった。
「あっ。今生徒会室から出てきたのって君の恋人その2さんだよね?」
「友達です!」
「シン?ヤマト先輩も…何か生徒会に御用ですか?」
「レイ。アスラン・ザラいる?」
同じクラスであり、生徒会会計であるレイに聞くと、
「ああ。彼なら…」
という返事を聞き終える前にアスランは生徒会室から勢い良く顔を出してきた。
「キラっ!俺に逢いに来てくれたのか?」
昨日のことなど既に過去のことだと水に流したような(事実そうなのだろう)溢れんばかりの笑顔である。
「レイくん。これアスランに返しといて。じゃ」
キラはアスランには目も向けず、レイににっこり微笑んでカードを渡し終えると、速攻で踵を返した。
「待てキラ!」
「イヤv」
「今度は二人っきりで食事に行こうキラ」
「絶対イヤv」
「「……………」」
追いかけっこをするように走り去った彼らを、シンとレイは無言で見送った。
「…レイ。仕事手伝うよ」
「すまない」
「あんな生徒会長を管理すんの…大変だな」
「……普段はまともなんだが…ヤマト先輩の魔性は恐ろしい。お前も大変だな」
「あははははは」
シンの空笑いは虚しく廊下に響いて消えた。
ENDv
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